【おうちづくりコラム】建築費の高騰対策

例えば、現在は2、3年前に比べて
500万円ほど建築費が上がっているのですが、
そうなれば上がった分だけ自己資金を入れない限り、
単純に毎月の返済にその負担がのしかかってきます。

固定金利にて35年返済で考えると、
100万円ごとに3000円弱返済負担が増えるので、
この上昇分を全てローンで賄うとしたら
15,000円弱も負担が上がってしまうということですね。

そんなわけで、
物価は上がれど賃金が追いついていない現在、
この負担増を少しでも和らげるために、
固定金利に比べて金利が安い
変動金利を選ぼうとしている方が
けっこういらっしゃるのではないかと思います。

変動金利は固定金利に比べて
銀行に支払う手数料も少なく、
その分、家に予算を回せるというメリットもありますしね。

もちろん変動金利を選んだとて、
変動金利の最大のリスクである
「金利の上昇」に直面し、
急激に返済負担が上がるということは
今の段階では考えにくいので、
少しでも金利を低くし返済負担を下げるのも
一つの手ではあるのですが、
とはいえ変動に比べて高いと言われている固定金利も
現時点ではべらぼうに高いわけではないので、
収入に不安がある方なんかは、
手堅く固定金利を選んでおいてもいいのではないかと
個人的には思っていたりするんですけどね。

では、仮にあなたがどちらかというと
固定金利を選びたいなーとお考えだとしたら、
一体どのように資金計画を立てればいいのでしょうか?

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✔️返済期間を長くする

住宅ローン金利は「複利」で計算されるため、
期間が長くなればなるほど、
支払い利息が雪だるま式に膨らんでいきます。

ゆえ、セオリー通りに考えると
期間を長くするなんてことは
もっての外の行為であり、
むしろ頭金をたくさんいれ、
積極的に繰上げ返済を行うことで、
なるだけ期間を短くすべきです。

しかし、そうは言っても
増えるどころか減っていっている
給料の現状を考えると、
毎月の負担が上がってしまうのは、
それこそ「貯金」をする余裕すら
奪ってしまうことになります。

そして「貯金」出来る余力がなくなれば、
「長期積立投資」を行うことすら
出来なくなってしまいます。

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✔️「複利」の効果を活かす

仮に返済期間を5年延ばすと
借入金額にもよりますが
返済負担がざっと1万円ほど軽減されます。

また、住宅ローン金利の中には
掛け捨ての生命保険料が含まれており、
返済期間が長くなるということは
この保証期間も長くなるということだし、
もしものことが起こった時も、
家族に「住む場所」というかけがえのない資産を
残してあげることが出来るので、
家を建てた段階で現在加入している生命保険を
全て見直してもいいと思います。

そして、この浮いたお金を
先程の返済期間を長くしたことによって
浮いたお金と共に「長期積立投資」に回してください。
いや、回し続けてください。

なぜ、そうして欲しいかについては、
「複利」の効果を活かして欲しいからです。
出来るだけ期間を長くすることによって
お金を雪だるま式に増やすという効果を。

また、長期積立投資があなたにもたらす利回りは、
間違いなく住宅ローン金利よりもはるかに高いからです。

つまり、高々1%前後の
住宅ローン利息を必死に圧縮するよりも
その数倍以上の利回りが期待出来る
長期積立投資にお金を回した方が、
圧倒的に手元に残るお金が増える可能性が高い
ということですね。

以上、これから家を建てる方で
出来れば固定金利を選びたいなとお考えの方は
ぜひ参考にしていただければと思います。

【おうちづくりコラム】合理的な収納設計

前回、家のコストを抑えるためには
なるだけ広くつくりたいと思っている
LDK(リビングダイニングキッチン)とて
むやみやたらに広げようとせず
適切な広さにすべきだというお話を
させていただいたのですが、
なるだけたくさんつくりたいという
声をよくお聞きする「収納」とて
つくればつくるほどコストに跳ね返ってくるため、
適切なつくり方を知る必要があります。

人は余白があればそこを埋めたくなる
という性質を持っているので、
収納をつくればつくるほどさらにモノが増えて
余計に片付けにくくなるかもしれませんしね。

そんなわけで今回は
コストと機能性のバランスが取れた収納をつくるために
知っておいていただきたい2つのコトについて
お伝えしていきたいと思います。

いずれもコストを上げずに
収納力をアップさせるための基礎知識なので
ぜひ最後までお付き合いください。

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コストをアップさせずに
収納力だけをアップさせるためには、
「床面積」を増やさず
「壁面積」だけを増やすように
しなければいけません。

例えば、一般的に収納の奥行きは
91cmでつくられることが多いのですが、
生活の中心となるLDK付近には
こんなに奥行きが深い収納は必要ありません。

リビングにせよ、ダイニングにせよ、
キッチンにせよ、細々としたものが多いし、
昔に比べて全てのものが薄型化しているからです。

ゆえ、本来LDK付近には、
持ち物をより管理しやすくするために
奥行きの浅い収納をつくるべきなのですが、
では、そんなのお構いなしで
昔ながらの奥行きが深い収納ばかり
つくってしまった場合、
一体どうなるのでしょうか?

間違いなく手前に出来る余白に
何かを置いてしまうことになり、
奥にあるものが取り出しにくくなるか、
あるいは奥に置いてあるものが何なのかも
スッカリ忘れてしまうのではないでしょうか。

そんなわけで弊社では、
床面積を増やすよりも
壁面積を増やすよう意識しているというわけです。

先程の例で言うと、奥行きを半分にし
その代わりに横幅を2倍にすれば、
床面積は同じのまま使える壁の量が2倍になる
という感じです。

いわばコストをアップさせずに
収納力(機能性)だけをアップさせている
という理屈です。
手前にモノが置けなくなるコトによって
持ち物も圧倒的に管理しやすくなりますしね。
まずこれが1つ目の基礎知識です。

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✔️行き過ぎた最短動線

そして、収納で知っておいてもらいたい
もう1つの重要なことが、
「通り抜け動線は収納力を低下させる」
ということです。

理由は簡単で、
「通り抜ける=廊下が出来る」↓
「廊下が出来る=モノが置けなくなる」からです。

例えば、
3帖のウォークインクローゼットをつくったとして、
この収納を通り抜けにせず、どん詰まりの収納にした場合、
合計約5.2m分の壁を利用することが出来るのですが、
この部屋を通り抜け出来るようにしたら
使える壁の量が半分の2.6mまで減ってしまうことになります。
廊下をつくることによって
2方向の壁が使えなくなってしまうからです。

そしてその結果、いざ暮らし出してみると
思っていたよりもモノが収まらず困った
という状況に陥ってしまいます。

そして、それでは片付かないからと
結局、通り道にモノを置いてしまい
通り抜け出来なくなってしまうなんてことも
決して珍しい話ではないと思います。

そんなわけで、
そこまで最短動線を追求する必要もないのではないか
と思っている次第です。

これまでお伝えしてきたように
なくてもいい場所を削るコトによって
家がコンパクトになれば、
それだけで動線が短くなるわけだし、
基本、平屋を建てるようにすれば、
それだけでかなり動線が良くなるわけですしね。

いかがでしたか?

収納は単純に床面積を増やせば
それだけでいいわけでもないということを
ご理解いただけたのではないでしょうか。

というわけで「収納」に関しては、
今回の記事を参考にしながら
図面をみていただけたらと思います。

これが理解出来れば、
きっとコストを上げることなく
充分な分量の使いやすい収納を
つくることが出来るはずですから。