【おうちづくりコラム】法律と現実

部屋に必要な採光や換気は
建築基準法に定められている基準に従って計算するのですが、
この基準をクリアしたから充分な採光や換気が取れているのか?
と言うと決してそうではありません。

その多くの窓にはカーテンが設置され、
外から入ってくる光を遮断するからです。
また、カーテンが必要な窓は開けることすら難しいからです。

その上、煩わしい直射光を遮断するために
シャッターまで閉めようものなら
もはや、その窓は窓としての機能を
一切果たさない状態と化してしまいます。

そんなわけで採光と換気に関しては、
決して建築基準法がどうのという話だけで考えるのではなく、
実態レベルで考えなければいけません。
残念なぐらいに薄暗くて空気がどんよりとした
家を建ててしまわないためにも。

この問題を解決するためには、
そもそもカーテンが必要のない窓を
どうすればつくることが出来るのか?
を考えなければいけません。

どのようにすれば、
採光や換気を確保出来ると同時に
プライバシーも守れる窓に出来るか?ということです。

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例えば、一般的に窓の高さは
床から2mを天端として
そこから70cm〜90cmの高さの窓を設置することが多いのですが、
この窓の高さは家の中が外から非常によく見える高さであるため
外からの視線が気になりカーテンを設置せざるを得なくなります。

また、リビングをはじめとした南向きの窓に関しては、
南からの直射光を取り入れたいあまりに大きな窓を設置しますが、
窓の向こうに視線を遮断するものがない場合、
外からの視線が気になり、
これまたカーテンを設置せざるを得なくなります。

ゆえ、弊社では床までの大きな窓を設置する場所は、
外からの視線が気にならないところだけに限定しているし、
それ以外の場所の窓に関しても
外からの視線が気にならない高さに設置したり、
外からの視線が気になる場所に設置せざるを得ない場合などは、
透明ガラスではなくフロストガラス(曇ガラス)を使うなど、
視線を防ぐためのカーテンが必要ないように工夫しています。

あ、そうそう。
外の地面の高さは家の中の床の高さよりも約60cm低く、
窓の高さを低くすればするほど外から覗かれやすくなるので、
これも建てる前に知っておいた方がいいかと思います。

そんなわけで窓は1つ1つ立地環境を加味しながら
高さ、形状、ガラスの種類などを丁寧に決めていくわけですが、
これが出来れば予定通りの光が家の中に入ってくるし、
いい気候の時期には心置きなく窓を開けることが出来るし、
開けたままにしておくことも出来ます。

また、プライバシーが担保された透明ガラスからは
外の様子はもちろん、光の動きや四季の移ろい、
そして空を眺めることが出来るので、
圧巻の開放感と贅沢な時間を
感じていただくことも出来ると思います。

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いかがでしたか?
快適な家にするために
どれだけ窓が重要な役割を占めているのか
お分かりいただけたのではないでしょうか。

なので、間取りや動線ばかりに気を取られ過ぎず、
窓のことも同じぐらいよく考えながら
設計図をご覧いただけたらと思います。

【おうちづくりコラム】南向きの土地の活かし方

南向きの土地は家を建てる多くの方から
欠点のない万能の土地だと思われがちですが、
決してそんなことはありません。

例えば、よほど広く土地を買わない限り
駐車場と庭がいっしょくたになり、
庭のプライバシーが担保しにくくなると同時に、
庭で遊ぶ子供たちの身の危険が高くなります。
あるいは、安全性と防犯性を担保するために
塀や門をつくるとなればその分外構費が高くなります。

また、南向きの土地は
庭のみならず家の中もプライバシーが担保しにくいという
リスクを最も秘めています。
南向きの土地を買った以上、
部屋の向きも窓の向きも出来るだけ南にしなければいけない
というマインドが発動するからです。

結果、その状態の中で
プライバシーを担保する方法を模索するしかなくなるのですが、
その方法として用いられるカーテンやシャッターは、
窓から入ってくる光を閉ざすという役割まで果たしてしまいます。

つまり、明るいはずなのにあまり明るくなくなってしまう、
あるいは暗くなってしまうというわけですね。

その上、土地はもちろんのこと、
家や外構も南向きの土地が一番高くなりやすいですしね。

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という風に
たとえ最強と言われている南向きの土地でさえも、
その他の土地同様に
それなりに欠点を持ち合わせているのですが、
南向きの土地の最も厄介なことが
それ以外の方角の土地に比べて
この解決策を講じるのが難しいということではないでしょうか。

「採光」と「プライバシー」を両立するためには、
西・東・北同様に道路面からの採光に頼らない
という方法を用いるのが最も良い解決策なのですが、
「せっかく南向きを買ったのに!」
という考えが確実にそれを邪魔するからです。

ゆえ、個人的にはそのリスクを未然に防ぐために
そもそも南向きの土地をオススメしないようにしています。

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✔️プライバシーの担保が最優先

ここまでお伝えしたように
南向きの土地が抱える一番の問題は、
採光方法を単純に考えるとプライバシーが担保されなくなること、
そしてその解決策に多額の資金を
突っ込まないといけないこと、です。

ゆえ、それらを解決するために弊社では、
間違いなく外から家の中が見られない立地じゃない限りは、
南向きの土地においても西・東・北の土地同様に、
家の正面には基本窓を設けないというスタンスを貫いています。

土地が広い場合、
その解決策は「中庭」となるでしょう。
そして、土地が狭い場合、
その解決策は「吹抜け」となるか、
あるいは「吹抜け」と「中庭」の併用となるかもしれません。

これらの方法は、南向きの土地においては
とっても意味がなく勿体無いことのように映るかもしれません。
また、友人や親御さんに図面を見せようものなら、
全否定されるかもしれませんし、
大なり小なり家のコストは上がってしまうかもしれません。

ですが、これらがもたらす恩恵は
安定した採光と開放感はもちろん、
家の中と庭のプライバシーがしっかりと担保されたことで
安心して過ごすことが出来るようになることです。

かつ、カーテンやシャッターといった
付属部材にコストをかける必要がなくなり、
また、塀や目隠しといった余分な外構工事にも
コストをかける必要がなくなり、
その分、家づくりの予算を落とすことが出来ることです。

なので、こういったことも踏まえた上で
土地選びをしていただければと思います。
きっと、土地探しの幅が確実に広がるはずですから!

【おうちづくりコラム】北向きの土地の活かし方

土地選びにおいては
東西南北のうちで「北」という方角は最も敬遠される土地ですが、
一方で建築業界では形状によっては
「最悪」にもなれば「最高」にもなるとも言われています。

奥行きが浅い場合、
つまり南北の距離が短い場合だと
ただただ日当たりが悪くなってしまうだけですが、
奥行きが深い場合だと日当たりに問題が生じにくい上、
プライバシーが担保された庭をつくることが出来るし、
室内のプライバシーも庭同様に担保されるからです。

つまり駐車場と庭が別々になると同時に、
庭で遊ぶ子供たちが道路に飛び出す心配がないため、
安心して庭で遊ばせることが出来るということ。

そして、人目を気にすることなく家の中で生活しやすくなるし、
庭でも遊びやすくなるし、
外に干した洗濯物も人から見られにくくなるというわけですね。

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ゆえ、北向きの土地に関しては、
一概に良し悪しを語ることが出来ないのですが、
ただ一つ奥行きが浅い場合でも、あるいは深い場合でも
「北向きの土地ならでは、の問題」というものが実は存在します。

その問題は、
「外観が美しくなりにくい」ということです。
日当たりを優先すれば部屋が南に配置されるため、
階段や水回りスペースなどが自ずと家の正面となる
「北」に配置されることになるからです。

つまり、高さ・サイズ:形状がバラバラの窓が
家の正面に並ぶことになり、
これが美しさを損なう原因となるし、
それに加えて換気扇も北に設置せざるを得なくなり、
これらが家を汚していく原因となるから、というわけですね。

その上、便利だからと勝手口ドアまで
家の正面につけようものなら、
ただただ生活感の塊を周りに披露することになりますしね。

ま、そもそも家の顔となる表に
裏口の象徴である勝手口をつけること事態が
間違った考え方なんですけどね(笑)

以上の理由から、北向きの土地は
外観の美しさを整えるのが難しいという問題が発生しやすい
というわけですね。

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✔️美しさを整える工夫

この問題を解決するためには
「南にリビング、北に水回り」
というなんとなく家の基本となっている
この固定概念を頭の中からリセットしなければいけません。

極端に言えば「北にリビング、南に水回り」
でも全然良いんじゃないかと思えるようにするということですね。

例えば、北の筋にリビングをつくり、
真ん中の筋に中庭をつくり、
南の筋に部屋や水回りをつくると仮定します。

この場合、
南に建つ隣の家から充分な距離を開けたところに
リビングをつくることが出来ると同時に、
リビングの窓を南向きでつくることが出来るため、
直射光がほぼ邪魔をされることなく
入ってくるのは間違いありません。

また、南だけじゃなく
東や西に建つ建物からも充分な距離を開けた場所に
中庭の東や西の窓をつくることが出来るので、
1日を通して採光に苦しむことはまずないと思います。
その上プライバシーが担保された中庭の窓は
カーテンをつける必要もありませんしね。

これが出来れば外観は一気に美しくなります。
リビングの採光を道路面に設置する窓に頼る必要がなくなるし、
水回りや部屋が正面(北)ではなく
隣の家が建つ東・西・南に配置されることになり、
換気扇やエアコンなどが全て隠せるようになるからです。

「中庭」からの採光があれば、
部屋や水回りへも直射光はもちろん、
反射光や天空光なども入ってくるため、
思っている以上に明るくなりますしね。

というわけで今回は、
北向きの土地で奥行きの深さに関係なく
採光と美しい外観を担保する方法
についてお伝えさせていただきました。

【おうちづくりコラム】東向きの土地の活かし方

東向きの土地が持つ特徴の一つに
西向きの土地同様に
「日当たりに難があることが多い」ということがありますが、
忌み嫌われる西日とは違い
爽やかな朝日を採り込みやすい東向きの土地は、
西向きの土地ほど悪いイメージはないと思います。

とはいえ、
道路面となる東面に大きな窓をつくってしまうと
プライバシーと防犯を悪くする恐れがあると同時に、
それをカバーするために外構工事費用もアップしやすいことから、
弊社では、東向きの土地の場合でも西向きの土地同様に
道路面からの採光に頼らずとも
家の中が明るくなるように設計しています。

では今回は東向きの土地の場合、
日当たりの問題をどのように解決するのか
お伝えしていきたいと思います。

「平屋」が建てられるぐらい
土地が広い場合(55〜60坪)は西向きと同じ解決策であり、
それは前回お伝えさせていただいたので、
今回は「平屋」が建てれそうにない
少し狭い土地の場合の解決策についてお伝えしていきたいと思います。

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✔️一般的な解決策

土地が狭くなればなるほど
南に建つ家との間に距離を開けることが難しくなるため、
一般的には道路面である東から採光の補填をしようとします。

ですが、東面に大きな窓をつくると
外から家の中が丸見えになることから
それを遮断するためにカーテンを設置することになりますが、
その目的で設置されたカーテンはずっと開けることが出来ないため、
その方法では充分な光を家の中に取り込むことが出来ない
というのが現実です。

つまり、この方法では充分な採光を
家の中全体に届けることが出来ないというわけです。

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✔️弊社の解決策

ゆえ、弊社では土地が狭い場合
道路面には基本窓を設けないようにしつつ
「中庭」をつくるという方法か、
「吹抜け」をつくるという方法か、
あるいはその両方をつくるという方法によって
日当たりの悪さ問題を解決するようにしています。

「中庭」という手段は、
南に建つ家から採光を取りたい窓まで充分な距離が確保出来るから。
「吹抜け」という手段は、
より高い位置から採光を取ることが出来るし、
深いところ(北の方)まで日差しを入れることが出来るため、
南の建物近くにリビングを配置することが出来るようになるから。

端的に申し上げるとこのようなメリットが存在するからです。
そして、これらの手段によって採光が確保出来れば、
プライバシーや防犯が担保され外構工事費用が大幅にカット出来ます。

また、外周面の窓に頼らずとも採光が確保出来るとなれば、
周囲の建物の有無に関係なく
敷地いっぱいに建物を配置することが出来るようになります。
結果、可能な限り1階により多く部屋とより多くの収納を
配置することが出来るようになります。

つまり、2階部分を最小限にすることが出来るので、
2階建てが引き起こす様々な欠点も
最小限に出来るというわけですね。

洗濯の動線に無駄が出来る問題。
子供が自分の部屋を使いにくい問題。
結果、リビングが散らかりやすい問題。
掃除の手間がかかりやすい問題。
足腰が悪くなった時、住みにくい問題。
といったことが、です。

このように、土地が持つ問題というものは
設計によってほぼ100%解決することが出来ます。
そして、その解決策によって暮らしやすさやコストの問題なども
同時に解決することが出来ます。

ぜひ、これからの
家づくりの参考にしてみてください!
では次回は北向きの土地の活かし方」について
お伝えしていきたいと思います。

【おうちづくりコラム】西向きの土地の活かし方

西から射し込む光は深く射し込むと同時に
日差しが厳しいことから忌み嫌われており、
西からの日差しが確保しやすい
西向きの土地を好んで購入したいとお考えになる方は
あまりいらっしゃらないと思います。

しかし、その一般論とは裏腹に
弊社では西向きの土地を
積極的にオススメさせていただくことが多々あります。

理由は至って単純で、
弊社は道路の向きに関わらず
道路面となる正面に基本窓を設けないからです。

つまり西向きの土地を買っても
日常生活において
西からの直射日光に頭を悩ますことがないため、
買っていただいても全く問題がないというわけですね。

とはいえここで疑問になることが、
「西向きの土地」=南と東には(北にも)
家が建っていることが多いため
西から光を採らなければ日当たりが悪くなるんじゃないか?
ということだと思うので、
その解決策について今回はお伝えしていきたいと思います。

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✔️一般的な解決策

西向きをはじめとした
日当たりに難がありそうな土地の場合、
一般的には家の南に充分な余白を取るという手法を用いて、
日当たりを確保しようとします。

リビングから南の境界まで少なくとも3〜4m、
出来れば5〜6mほど距離を取るという感じですね。

5〜6m南に建つ家と距離を開けることが出来れば
南に建つ家が2階建てだとしても
1年中直射光が確保出来るからです。

そしてこの結果、
その余白部分に建てることが出来る部屋を
2階に持ち上げることになるのですが、
弊社ではこのような解決策は提案しません。
日常生活において様々な問題を引き起こす原因となるからです。

洗濯の動線に無駄が出来る問題。
子供が自分の部屋を使いにくい問題。
結果リビングが散らかりやすい問題。
家の中に温度差が生まれやすくなる問題。
家の耐震性が悪くなる問題。
掃除の手間がかかりやすい問題。
足腰が悪くなった時、住みにくい問題。
外構工事費用が高くなる問題。
プライバシーと防犯が悪くなる問題。
などなど、詳細はここでは省きますが、
一般的な2階建ての家が抱える様々な問題が、です。

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✔️弊社の解決策

それゆえ、弊社では一般的な解決策ではなく、
日当たりの問題と同時に暮らしやすさを損なわないような
解決策をご提案しています。

例えば、日当たりを確保するために
南に建つ家から充分な距離が開けることが出来るぐらい
敷地にゆとりがあるとしたら弊社では「平屋」をご提案します。

「平屋」にすれば
洗濯動線の問題、
子供部屋が使いにくい問題、
リビングが散らかりやすい問題、
温度差が生じやすい問題、
耐震性が悪くなりやすい問題、
掃除の手間がかかりやすい問題、
足腰が悪くなった時に困る問題、
が一発に解決出来るからです。

ただし、日当たりの問題や外構工事のコスト問題、
そしてプライバシーや防犯問題に関しては、
ただ「平屋」にしただけでは解決にはなりません。

ゆえ、弊社では敷地に余白をつくり
そこに庭をつくるという考えではなく、
家の内側に庭をつくるという解決策をご提案しています。
いわゆる「中庭」という提案ですね。

「中庭」をつくれば、
南に限らず東に建つ家からも、また北に建つ家からも、
採光を確保する窓まで充分な距離が確保出来ると同時に、
その窓にカーテンを設置する必要がありません。

「中庭」に面する窓の向こうに広がる景色は、
人目が気にならない自分の家の室内ばかりだからです。

結果、日中ずっと採光を
確保し続けることが出来るというわけですね。
たとえ周りが家に囲まれていようとも。
また、たとえ曇りや雨の日だろうとも。

そして、人目につくところに
大きな窓をつくる必要がなくなるため
外壁そのものが盾の役割となり、
プライバシーと防犯を同時にしっかり確保すると同時に、
目隠しや塀にかかる無駄な外構費もカットしてくれる
というわけですね。

いかがでしたか?
なんとなくイメージしていただけたでしょうか?
それとも文章だけだと
いまいちイメージがつきにくかったでしょうか?

というわけなので、そんな方は
ぜひ一度弊社の住まいを見に来ていただければと思います。
きっと新しい発見があるはずなので
お気軽にお問い合わせくださいね。

【おうちづくりコラム】一生暮らすつもりなのに

土地の選び方と家の建て方は、
一生そこで暮らすつもりなのか?
しばらく住んだ後売却することを考えているのか?
によって全く違ってきます。

一生そこで暮らすつもりなら、
自分の価値観を思いっきり詰め込んだ家にした方が絶対にいいし、
土地の日当たりや向きにそこまでこだわる必要がないのに対し、
売却するつもりだと、少しでも早く売却しやすいように
(=誰にでも受け入れてもらいやすいように)
普遍的な家にしておいた方がいいだろうし、
土地に関しても日当たりや向きにこだわっておいた方が
間違いなく売却しやすいからです。

また、家の内容に関しても、
売却予定があるのだとしたら
絶対に「長期優良住宅」にしておいた方がいいのに対し、
その予定がないのだとしたら、
逆に「長期優良住宅」にこだわる必要もないかもしれません。

「長期優良住宅」にするということは、
「=価値が落ちにくい家にする」ということなので、
時間が経っても価値が落ちにくい
「=高く売れやすい」「=固定資産税が安くなりにくい」
と考えられるからです。

そんなわけで、
ずっとそこで住むつもりの方とそうじゃない方とでは、
どんな家にした方がいいのかと
どんな土地にした方がいいのかが
全然違ってくるというわけなのですが、
この話の結論は、後者の価値観を反映させた家づくりは
全体にかかる費用がずいぶんと高くなるということです。

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まず、高くなるのが「土地」にかかる費用です。
いつか売却を考えているなら
圧倒的に人気が高い「南向きの土地」を選んでおいた方が
絶対に後々売れやすいからです。

また、地域に関しても人口が減っていかないか
あるいは増える見込みが高い地域にしておいた方がいいので、
そもそも土地の坪単価自体も高くなってしまうでしょうしね。

家にかかる費用もおそらく割高になると思います。
売却するとなれば、
それなりの部屋数と広さにしておかないと売りにくくなるだろうし、
南向きの土地に南向きの部屋で家を建てるとなれば、
カーテンやシャッターといった
オプション費用も高くなりやすいからです。

長期優良住宅の仕様にするのに
値段が上がることはないものの、
長期優良住宅の認定を取得するために別途で費用がかかるし、
長期優良住宅にするということは
こまめにメンテナンスをしていかないと
いけないということでもあるので、
そのための費用も待ったなしで必要になってくるでしょうしね。

外構工事に関する費用も確実に割高になってきます。
南向きの土地は庭がオープンになり人目につきやすいため、
快適な暮らしを手に入れるためには
目隠しや塀、植栽などを駆使し、視線を遮断する工夫や
心理的に敷地に入ってきにくい工夫を凝らさないといけないし、
同じく人目にさらされるウッドデッキに関しても、
心置きなく使えるようにするためには
目隠しをせざるを得ないからです。

これらに加えて、
土地価格が高い地域だと土地の固定資産税も高いでしょうし、
長期優良住宅でありながらそれなりの広さの家を建てるとなると、
家の固定資産税も高いでしょうしね。

以上のような理由から、
後者の家づくりは前者の家づくりに比べて
ずいぶんと高くなってしまうというわけですね。

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✔️ずっと住むことが前提なら

家を建てる方の多くが、
将来売却する予定がないのに、
まるで将来売却をする予定でもあるかの如く、
ここまで紹介してきたような家づくりをされています。

土地の日当たりにこだわると共に
家の日当たりと広さにこだわったがために
割高に買い物になる。
さらにその副産物として発生する
オプション工事や外構工事にまで多額のコストを支払う。
そして、その結果ローン返済に負荷がのしかかってくる。
という家づくりを。

このような家づくりは、
巷では当たり前とされていることではあるものの、
そこでずっと暮らすことを前提として
一つ一つを論理的に紐解いていくと
何もかもが当たり前として
認定した方がいいことではありません。

ゆえ、これから家を建てる方は、
狭い価値観の中で家づくりを決めるのではなく、
弊社も含め、家づくりにも
色々な考え方と形があるということを知っていただいた上で、
家づくりを進めていただければと思います。

【おうちづくりコラム】変動金利の恐ろしいところ

日本銀行が長期金利の上昇幅を
1%まで容認したことによって、
全期間固定や10年固定の
住宅ローン金利を左右する長期金利が上がりましたが、
長期金利の上昇が意味するところは、
全期間固定や10年固定の金利が上がるというだけに止まらず、
遅かれ早かれ変動金利を左右する
短期金利の上昇にも影響を与えるということです。

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というのも、この図のように長期金利が上がれば
短期金利との間に出来る金利差が大きくなるため、
その差を埋めるために短期も上昇せざるを得なくなる
というのが市場の原理だと考えるのが妥当だからです。

また、現状の物価高(インフレ)を考えると、
近い将来、短期金利をもう一段階上げる可能性が
高まってきているのも紛れもない事実です。

ゆえ、これから家を建てる方は
単純に目先の金利だけに囚われず、
この視点も持った上で
住宅ローン選びをしていただくことをオススメしています。

では、今回は
今後、短期金利が上がっていくことになるとしたら、
変動金利を選んだ方は一体どうなるのかについて
お伝えしていきたいと思います。

これまで変動金利の住宅ローンを
取り扱ってなかった地方銀行まで
取り扱い出している近々の動向を見る限り、
短期金利が上がるのはそう遠い未来ではないんじゃないかと
個人的には考えているので、
同じように危惧されている方は、
ぜひご覧いただければと思います。

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✔️じわりじわりと痛ぶられるイメージ

変動金利は半年ごとに金利が見直されるものの、
金利が上がったからと言って
すぐに返済負担が上がるというわけではなく、
5年間は返済額が変わることがありません。

では、その金利の上下がどのように影響してくるのか
ということになるですが、
仮に途中で金利が上がることになった場合、
元本と利息の割合が変わることになります。

仮に毎月の返済が10万円で
元本が8万円、利息が2万円だとしたら、
元本が7万円、利息が3万円になるという感じです。

要するに、元本の減りが遅くなってしまい、
その結果、返済額見直しのタイミングで
負担が上がりやすくなるというわけですね。

とはいえ、金利上昇に伴って
急激に返済額が上がってしまうと、
住宅ローン破綻という事態を招きかねないので
変動金利の場合、返済額見直し時でも
今の返済額の1.25倍以内までしか
上げてはいけないというルールがあり、
たちどころに返済が出来なくなるということにはなりません。

仮に、これまでの返済額が10万円だとして
元本の減りの鈍化×金利上昇によって
返済額が14万円になってしまうとしても、
1.25倍の12.5万円でとどめてくれるという感じです。

ただ、この場合
本来の14万円の内訳が元本7万円、利息7万円だとしたら、
12.5万円となる場合、
元本が5.5万円、利息が7万円となり、
さらに元本の減りが鈍化していくことになってしまいます。

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✔️これが導く結論

もし今後、短期金利が上がっていくとしたら
変動金利を選んでいる方は、
このような状況を経験していくことになります。
そして、これが引き起こす結末は
住宅ローンの返済がいつまで経っても終わらないということです。

途中の金利上昇時も、返済額見直し時も、
金利上昇の皺寄せを全て
元本の減りを鈍化させることに集中させているため、
期間を延ばすしか方法がなくなってしまうからです。

いかがでしたか?
変動金利の商品の恐ろしさを少しはご理解いただけたでしょうか?
問題を先送りにしてジリジリと追い込まれていく感を
お分かりいただけたでしょうか?

というわけなので、
これから家を建てられる方はこれをご理解いただくとともに
金利上昇リスクをどのようにヘッジするのかも
同時に考えていただきながら
家づくりの計画を立てていただければと思います。

銀行が変動金利の商品を充実させてきているからといって、
目先の金利の安さだけで飛びつかないように充分注意してください!

【おうちづくりコラム】豊かさを実現する真逆の方法 続々編

家は最低でも30坪は必要で、
普通なら35坪、出来れば40坪は欲しいと
多くの方がお考えだと思いますが、
大きくなればそれに比例して家の価格が高くなるため、
家のコストを抑えたい方は、
この固定概念に縛られないようにしなければいけません。

面積が広がったからといって、
それだけで開放感が出るわけでもないし、
広くなれば逆に掃除の手間がかかる上、
固定資産税や電気代をはじめとした
維持管理費も高くなるだけですしね。

というわけで今回は、
その固定概念を形成する3つの「無駄」について
お伝えしていきたいと思います。

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通路という無駄

最初の無駄が「通路」です。
通路とは文字通り「ただ通るだけ」の機能しか果たさないスペースで
「廊下」と「階段」のことです。

ゆえ、面積を抑えるためには
まずは階段をなくすこと「=平屋にすること」を
最優先に考えます。

2階建てにすれば、それだけで階段分面積が広がるし、
その上、2階にそれぞれの部屋をつくることが前提になると、
廊下がたくさん出来てしまうからです。

また、利便性を求め
「玄関→土間収納→洗面→脱衣→ファミリークローク→リビング→玄関」
という風に、グルグル回れる回遊動線を
求められる方も多くいらっしゃいますが、
これはつくる必要のない「廊下」を量産してしまう可能性が高い
という欠点を内に秘めています。

つまり、利便性をゲットために
「コスト」という代償を払う可能性が高いというわけですね。
ただ通るだけの「廊下」も
部屋や収納と同じだけコストがかかっているからです。

✔️数という無駄

2つ目の無駄が「部屋数」です。
例えば「客間」。
この部屋は、家庭訪問用とか来客用とか親が泊まりにきた時用
という名目で作られる部屋ですがこれらは本当に必要でしょうか。

親御さんが泊まることがあるとしても
高い確率で使っていない子供部屋を使って貰えばいいし、
あるいは広々したリビングに
布団を敷いて寝てもらってもいいでしょうからね。

この他、子供部屋に関しても
高い確率でいつか家を出ていくことを考えると、
必ずしも人数分だけつくる必要はないかもしれませんし、
ランドリールームや家事室など特定の用途のためだけに
小さめの部屋をつくりたいとお考えの方もいらっしゃいますが、
小さな部屋を多くつくればその分建築コストが上がると同時に、
冷暖房機器のコストも上がってしまうので、
それがあることを普通だと決めつけてしまっていないか?
世間の情報に流され過ぎてないか?
その部屋はコストという犠牲を払ってでも必要なものなのか?
これらを、間取りを描いてもらう前に
今一度よく考えてみてください。

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✔️広さという無駄

最後の無駄が「部屋の広さ」です。
寝室の広さ、子供部屋の広さ、
リビングダイニングキッチンの広さです。

寝室に至っては基本寝る時間だけしか使わないこと、
隣にウォークインクローゼットがありそこに荷物を全てしまうこと、
となると部屋にはベッド以外置くものがない可能性が高いので、
闇雲に大きくつくる必要がないのではないでしょうか。

子供部屋の広さにしても、
子供たちも大半の時間をリビングで過ごす可能性が高いし、
いつか出て行くことを考えると、
必要以上にお金をかけてまで
広くつくる必要はないのではないでしょうか。

リビングも然りです。
ここは過ごす時間が最も長い場所であり、
家族みんなが集まる場所なので、
個別の部屋に比べるとお金をかけてでも
少しゆったりつくっておいた方がいいものの、
かといって過剰な広さにしてしまうと
無駄な余白ばかりが生まれ
悪戯にコストが上がってしまうだけなので、
その点には注意していただきたいところです。

いかがでしたか?

今回お伝えさせていただいた
3つのことに配慮しながら間取りを考えると、
35坪や40坪どころか30坪にも満ちていないのに
充分ゆったり過ごせそうな間取りで
家を建てることが出来るようになります。

そして、それに加えて
前回、前々回の記事も参考にしていただければ、
無理のない予算で
美しいデザインと素晴らしい機能を兼ね備えたいい家を
建てることが出来るようになります。

「無駄を排除することで最小限の予算でマイホームを手に入れ
豊かな暮らしを実現する」
このコンセプトで家を建てたい方は、
全3回の記事をぜひ参考にしてみてくだい!

【おうちづくりコラム】豊かさを実現する真逆の方法 続編

前回、土地代や外構代を落としていただくために
カット出来そうな無駄についてお伝えさせていただきましたが、
それらを実現するためには、
根本的に家の設計から考え直さないといけません。

南向きにしなくても、
つまり家に囲まれている環境下でも充分な採光が確保出来る設計。
日当たりのために余分に土地を購入しなくても
必要な場所に充分な日照が確保出来る設計。

塀や目隠しなどがなくても人目が気にならず、
防犯的にも安心出来る設計。
また、何も装飾をしない方がむしろ家が美しく見える設計。
といった感じでしょうか。

そして、そのためには
家の無駄を省くことが一番の近道となります。

では今回は、
考えられる家の無駄についてお伝えしていきたいと思います。
一言で言ってしまうと、
「無駄」とは「固定概念の集まり」なので
まずはそれらが何かを知っていただければと思います。

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✔️カーテンという無駄

家にカーテンがあるのは
ごく当たり前の景色かもしれませんが、
少し掘り下げて考えてみるとカーテンがあることによって
家に様々な支障が出ていることに気が付くと思います。

家の中が暗くなる。
結果、朝から電気がないと暗くていられない。
外が見えないから開放感が感じられない。
カーテンが開けられないから窓が開けられない。
そして風が通らない。
カーテンの洗濯も含め掃除の手間が増える。
などなど。

他方、カーテンがいらない窓を意識してつくることが出来ると、
これらと真逆の現象が起こります。

家の中がいつも明るい。たとえ曇りや雨の日でも。
外が見えるので開放感が感じられる。
窓が開けられるので風通しがいい。
カーテンを洗う必要がない。
などなど。

その上窓の数も減らすことが出来るので、
窓掃除の手間も減るし戸締りの心配も少なくなるし
耐震性や断熱性も高くなります。

✔️シャッターという無駄

そして、カーテンと同じぐらい
無駄なアイテムなのがシャッターです。
カーテン以上に値段が高いですしね。

これもカーテン同様に南向きに窓を作らないといけない
という固定概念がもたらしたものです。
台風の時、シャッターがないと何かが飛んできて
ガラスが割れるかもしれないし、
長期間不在にする時、
シャッターをしてないと防犯的に心配だし、
シャッターがないと日中差し込み続ける
熱い陽射しをシャットアウト出来ませんからね。

そんなわけで日照時間が長く台風が多い徳島では
シャッターも定番アイテムと化しているのですが、
これも実は設計次第で100%無くすことが出来ます。
要は、防犯性とプライバシー性が担保された場所に窓を作れば、
カーテンとともにシャッターも必要じゃなくなるというわけですね。

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✔️2階建てという無駄

家の基本は平屋から始まり
その土地の中に入らない部分を2階につくるというのが
設計の基本なのですが、
なぜか土地に広さに関係なく
2階建てありきで多くの家が設計されています。

これは前回お伝えしたように
南向きじゃないといけないという
間違った固定概念がもたらした産物であることに違いありません。

しかし、冷静に考えてみてください。
太陽が沈んでいる時間に使う寝室を南向きにする必要はあるでしょうか。
昼間学校に行っている子供たちの部屋を南向きにする必要はあるでしょうか。
日中ずっと直射光に晒される眩しい部屋で
落ち着いて勉強なんて出来るでしょうか。

そしてそう考えると、
南向きにこだわった方がいい部屋なんてごく限られていると思いませんか?

これを理解しているだけで
間取りの幅がずいぶんと広がるはずです。
そして、家の南に無駄な余白をつくる必要がなくなり
平屋でいい土地に2階建てを建てなくてよくなります。

結果、耐震性や断熱性が自然と高くなり、
家事動線がよくなり、今も未来も暮らしやすくなり、
将来の不安がなくなるとしたら、
あなたはどちらを選びたいでしょうか。

いかがでしたか?
どれも当たり前にようにそうしなければいけないと
思われていたことばかりではないでしょうか。

そして、これらを当たり前にしているだけで、
土地代も外構代も高くつくという結果を招くことに
お気付きいただけたのではないでしょうか。

では、今回はここまでにして
次回もまた、まだまだ存在する当たり前のように受け入れている
「無駄」についてお伝えしていきたいと思います。

【おうちづくりコラム】豊かさを実現する真逆の方法

土地にせよ、家にせよ、大きくなればなるほど
豊かさや贅沢さが増すのは紛れもない事実であり、
それが意味することは
「無駄こそが豊かさの象徴である」ということですが、
弊社が提案する家づくりは
これとは真逆の哲学から成り立っています。

予算が膨らみローン返済という固定費が上がれば、
その分、生活が圧迫されるし、
それによって今後のあなたやあなたの大切な家族の人生に
様々な制約が生じてしまうと、
人生そのものの豊かさが消滅する
可能性が高まってしまうからです。

ゆえ、弊社では
「無駄を取り入れること」によって豊かさを実現する
というスタンスではなく、
「無駄を省くこと」によって豊かさを実現する
というスタンスを貫いているというわけなんですよね。

そして、無駄(=浪費)を
省くことによって浮いた資金を
「投資」に回していただくことで
金銭的な豊かさを手に入れていただきたいと考えています。

では今回からは、
弊社が考える家づくりの「無駄」と
それを省くために具体的にどうしているのかについて
お伝えしていきたいと思います。

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✔️南向きという無駄

最初の無駄が「南向き」にすることの無駄です。
南向きの土地は土地代が最も割高だし、
そこに南向きの家を建てれば
家代も外構代も割高になるからです。

家の中が丸見えになり
日差しが入ってき過ぎるとなれば
そこにはカーテンが必需品になるし、
強風の影響を最も受け
ガラスが割れるリスクが最も高いとなれば
そこにはシャッターも必需品となるし、
泥棒に狙われるリスクが最も高いとなれば
そこには心理的に敷地に入ってきにくいなんらかの工夫を
外構工事でしないといけなくなるからです。

ゆえ、弊社では
そんな設計をさせてしまう南向きの土地だけは
最初から選ばないようにお伝えさせていただいています。

「南向きだから明るい家になる」というのは
固定概念から生まれる全くの嘘で、
実際カーテンやシャッターがずっと閉まったままのお家で
家の中を明るくつくることは不可能に近いことです。
かつ、開放感あふれる家にすることも非常難しいです。

✔️庭(=余白)という無駄

続いての無駄が必要以上の広さの「庭」です。
これが無駄な理由はひとえに手入れが大変なこと。
余白が多くなればその分草が生える面積が増えるだけだし、
庭にこだわれば、その分こまめにメンテナンスしないといけないため、
手間もかかれば場合によったらお金もかかりますからね。

ゆえ、弊社では必要以上に庭が出来ないように、
家に合わせた必要最小限の土地を購入いただくと共に、
その敷地に無駄な余白が出来ないように
設計をさせていただいています。

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✔️外構工事という無駄

外構工事の役割は、
心理的に敷地に入ってきにくくすること、
そして家の雰囲気を引き立たせること、
この2点です。

そして、後者の意味合いであれば
予算にゆとりがあるなら予算が許す限り、
かけていただいてもいいとは思っているのですが、
とはいえ、これの厄介なところが
「思っているよりも遥かに工事価格が高い」というところです。
つまり、予算が膨らむ大きな原因の一つになるというわけですね。

ゆえ、弊社ではそもそも敷地に入ってこられても
防犯的にもプライバシー的にも問題がない家にすると同時に、
余計な装飾をせずとも雰囲気のある家を建てるようにし、
どちらの意味合いでも外構工事の無駄を省いているというわけですね。

いかがでしたか?
今回は土地にまつわる無駄についてお伝えさせていただきましたが、
「なるほどー。確かにねー」と思っていただけたでしょうか?

では、次回は
家にまつわる無駄についてお伝えしていきたいと思いますので、
次回もぜひご覧くださいね。