【おうちづくりコラム】一生暮らすつもりなのに

土地の選び方と家の建て方は、
一生そこで暮らすつもりなのか?
しばらく住んだ後売却することを考えているのか?
によって全く違ってきます。

一生そこで暮らすつもりなら、
自分の価値観を思いっきり詰め込んだ家にした方が絶対にいいし、
土地の日当たりや向きにそこまでこだわる必要がないのに対し、
売却するつもりだと、少しでも早く売却しやすいように
(=誰にでも受け入れてもらいやすいように)
普遍的な家にしておいた方がいいだろうし、
土地に関しても日当たりや向きにこだわっておいた方が
間違いなく売却しやすいからです。

また、家の内容に関しても、
売却予定があるのだとしたら
絶対に「長期優良住宅」にしておいた方がいいのに対し、
その予定がないのだとしたら、
逆に「長期優良住宅」にこだわる必要もないかもしれません。

「長期優良住宅」にするということは、
「=価値が落ちにくい家にする」ということなので、
時間が経っても価値が落ちにくい
「=高く売れやすい」「=固定資産税が安くなりにくい」
と考えられるからです。

そんなわけで、
ずっとそこで住むつもりの方とそうじゃない方とでは、
どんな家にした方がいいのかと
どんな土地にした方がいいのかが
全然違ってくるというわけなのですが、
この話の結論は、後者の価値観を反映させた家づくりは
全体にかかる費用がずいぶんと高くなるということです。

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まず、高くなるのが「土地」にかかる費用です。
いつか売却を考えているなら
圧倒的に人気が高い「南向きの土地」を選んでおいた方が
絶対に後々売れやすいからです。

また、地域に関しても人口が減っていかないか
あるいは増える見込みが高い地域にしておいた方がいいので、
そもそも土地の坪単価自体も高くなってしまうでしょうしね。

家にかかる費用もおそらく割高になると思います。
売却するとなれば、
それなりの部屋数と広さにしておかないと売りにくくなるだろうし、
南向きの土地に南向きの部屋で家を建てるとなれば、
カーテンやシャッターといった
オプション費用も高くなりやすいからです。

長期優良住宅の仕様にするのに
値段が上がることはないものの、
長期優良住宅の認定を取得するために別途で費用がかかるし、
長期優良住宅にするということは
こまめにメンテナンスをしていかないと
いけないということでもあるので、
そのための費用も待ったなしで必要になってくるでしょうしね。

外構工事に関する費用も確実に割高になってきます。
南向きの土地は庭がオープンになり人目につきやすいため、
快適な暮らしを手に入れるためには
目隠しや塀、植栽などを駆使し、視線を遮断する工夫や
心理的に敷地に入ってきにくい工夫を凝らさないといけないし、
同じく人目にさらされるウッドデッキに関しても、
心置きなく使えるようにするためには
目隠しをせざるを得ないからです。

これらに加えて、
土地価格が高い地域だと土地の固定資産税も高いでしょうし、
長期優良住宅でありながらそれなりの広さの家を建てるとなると、
家の固定資産税も高いでしょうしね。

以上のような理由から、
後者の家づくりは前者の家づくりに比べて
ずいぶんと高くなってしまうというわけですね。

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✔️ずっと住むことが前提なら

家を建てる方の多くが、
将来売却する予定がないのに、
まるで将来売却をする予定でもあるかの如く、
ここまで紹介してきたような家づくりをされています。

土地の日当たりにこだわると共に
家の日当たりと広さにこだわったがために
割高に買い物になる。
さらにその副産物として発生する
オプション工事や外構工事にまで多額のコストを支払う。
そして、その結果ローン返済に負荷がのしかかってくる。
という家づくりを。

このような家づくりは、
巷では当たり前とされていることではあるものの、
そこでずっと暮らすことを前提として
一つ一つを論理的に紐解いていくと
何もかもが当たり前として
認定した方がいいことではありません。

ゆえ、これから家を建てる方は、
狭い価値観の中で家づくりを決めるのではなく、
弊社も含め、家づくりにも
色々な考え方と形があるということを知っていただいた上で、
家づくりを進めていただければと思います。

【おうちづくりコラム】変動金利の恐ろしいところ

日本銀行が長期金利の上昇幅を
1%まで容認したことによって、
全期間固定や10年固定の
住宅ローン金利を左右する長期金利が上がりましたが、
長期金利の上昇が意味するところは、
全期間固定や10年固定の金利が上がるというだけに止まらず、
遅かれ早かれ変動金利を左右する
短期金利の上昇にも影響を与えるということです。

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というのも、この図のように長期金利が上がれば
短期金利との間に出来る金利差が大きくなるため、
その差を埋めるために短期も上昇せざるを得なくなる
というのが市場の原理だと考えるのが妥当だからです。

また、現状の物価高(インフレ)を考えると、
近い将来、短期金利をもう一段階上げる可能性が
高まってきているのも紛れもない事実です。

ゆえ、これから家を建てる方は
単純に目先の金利だけに囚われず、
この視点も持った上で
住宅ローン選びをしていただくことをオススメしています。

では、今回は
今後、短期金利が上がっていくことになるとしたら、
変動金利を選んだ方は一体どうなるのかについて
お伝えしていきたいと思います。

これまで変動金利の住宅ローンを
取り扱ってなかった地方銀行まで
取り扱い出している近々の動向を見る限り、
短期金利が上がるのはそう遠い未来ではないんじゃないかと
個人的には考えているので、
同じように危惧されている方は、
ぜひご覧いただければと思います。

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✔️じわりじわりと痛ぶられるイメージ

変動金利は半年ごとに金利が見直されるものの、
金利が上がったからと言って
すぐに返済負担が上がるというわけではなく、
5年間は返済額が変わることがありません。

では、その金利の上下がどのように影響してくるのか
ということになるですが、
仮に途中で金利が上がることになった場合、
元本と利息の割合が変わることになります。

仮に毎月の返済が10万円で
元本が8万円、利息が2万円だとしたら、
元本が7万円、利息が3万円になるという感じです。

要するに、元本の減りが遅くなってしまい、
その結果、返済額見直しのタイミングで
負担が上がりやすくなるというわけですね。

とはいえ、金利上昇に伴って
急激に返済額が上がってしまうと、
住宅ローン破綻という事態を招きかねないので
変動金利の場合、返済額見直し時でも
今の返済額の1.25倍以内までしか
上げてはいけないというルールがあり、
たちどころに返済が出来なくなるということにはなりません。

仮に、これまでの返済額が10万円だとして
元本の減りの鈍化×金利上昇によって
返済額が14万円になってしまうとしても、
1.25倍の12.5万円でとどめてくれるという感じです。

ただ、この場合
本来の14万円の内訳が元本7万円、利息7万円だとしたら、
12.5万円となる場合、
元本が5.5万円、利息が7万円となり、
さらに元本の減りが鈍化していくことになってしまいます。

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✔️これが導く結論

もし今後、短期金利が上がっていくとしたら
変動金利を選んでいる方は、
このような状況を経験していくことになります。
そして、これが引き起こす結末は
住宅ローンの返済がいつまで経っても終わらないということです。

途中の金利上昇時も、返済額見直し時も、
金利上昇の皺寄せを全て
元本の減りを鈍化させることに集中させているため、
期間を延ばすしか方法がなくなってしまうからです。

いかがでしたか?
変動金利の商品の恐ろしさを少しはご理解いただけたでしょうか?
問題を先送りにしてジリジリと追い込まれていく感を
お分かりいただけたでしょうか?

というわけなので、
これから家を建てられる方はこれをご理解いただくとともに
金利上昇リスクをどのようにヘッジするのかも
同時に考えていただきながら
家づくりの計画を立てていただければと思います。

銀行が変動金利の商品を充実させてきているからといって、
目先の金利の安さだけで飛びつかないように充分注意してください!

【おうちづくりコラム】豊かさを実現する真逆の方法 続々編

家は最低でも30坪は必要で、
普通なら35坪、出来れば40坪は欲しいと
多くの方がお考えだと思いますが、
大きくなればそれに比例して家の価格が高くなるため、
家のコストを抑えたい方は、
この固定概念に縛られないようにしなければいけません。

面積が広がったからといって、
それだけで開放感が出るわけでもないし、
広くなれば逆に掃除の手間がかかる上、
固定資産税や電気代をはじめとした
維持管理費も高くなるだけですしね。

というわけで今回は、
その固定概念を形成する3つの「無駄」について
お伝えしていきたいと思います。

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通路という無駄

最初の無駄が「通路」です。
通路とは文字通り「ただ通るだけ」の機能しか果たさないスペースで
「廊下」と「階段」のことです。

ゆえ、面積を抑えるためには
まずは階段をなくすこと「=平屋にすること」を
最優先に考えます。

2階建てにすれば、それだけで階段分面積が広がるし、
その上、2階にそれぞれの部屋をつくることが前提になると、
廊下がたくさん出来てしまうからです。

また、利便性を求め
「玄関→土間収納→洗面→脱衣→ファミリークローク→リビング→玄関」
という風に、グルグル回れる回遊動線を
求められる方も多くいらっしゃいますが、
これはつくる必要のない「廊下」を量産してしまう可能性が高い
という欠点を内に秘めています。

つまり、利便性をゲットために
「コスト」という代償を払う可能性が高いというわけですね。
ただ通るだけの「廊下」も
部屋や収納と同じだけコストがかかっているからです。

✔️数という無駄

2つ目の無駄が「部屋数」です。
例えば「客間」。
この部屋は、家庭訪問用とか来客用とか親が泊まりにきた時用
という名目で作られる部屋ですがこれらは本当に必要でしょうか。

親御さんが泊まることがあるとしても
高い確率で使っていない子供部屋を使って貰えばいいし、
あるいは広々したリビングに
布団を敷いて寝てもらってもいいでしょうからね。

この他、子供部屋に関しても
高い確率でいつか家を出ていくことを考えると、
必ずしも人数分だけつくる必要はないかもしれませんし、
ランドリールームや家事室など特定の用途のためだけに
小さめの部屋をつくりたいとお考えの方もいらっしゃいますが、
小さな部屋を多くつくればその分建築コストが上がると同時に、
冷暖房機器のコストも上がってしまうので、
それがあることを普通だと決めつけてしまっていないか?
世間の情報に流され過ぎてないか?
その部屋はコストという犠牲を払ってでも必要なものなのか?
これらを、間取りを描いてもらう前に
今一度よく考えてみてください。

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✔️広さという無駄

最後の無駄が「部屋の広さ」です。
寝室の広さ、子供部屋の広さ、
リビングダイニングキッチンの広さです。

寝室に至っては基本寝る時間だけしか使わないこと、
隣にウォークインクローゼットがありそこに荷物を全てしまうこと、
となると部屋にはベッド以外置くものがない可能性が高いので、
闇雲に大きくつくる必要がないのではないでしょうか。

子供部屋の広さにしても、
子供たちも大半の時間をリビングで過ごす可能性が高いし、
いつか出て行くことを考えると、
必要以上にお金をかけてまで
広くつくる必要はないのではないでしょうか。

リビングも然りです。
ここは過ごす時間が最も長い場所であり、
家族みんなが集まる場所なので、
個別の部屋に比べるとお金をかけてでも
少しゆったりつくっておいた方がいいものの、
かといって過剰な広さにしてしまうと
無駄な余白ばかりが生まれ
悪戯にコストが上がってしまうだけなので、
その点には注意していただきたいところです。

いかがでしたか?

今回お伝えさせていただいた
3つのことに配慮しながら間取りを考えると、
35坪や40坪どころか30坪にも満ちていないのに
充分ゆったり過ごせそうな間取りで
家を建てることが出来るようになります。

そして、それに加えて
前回、前々回の記事も参考にしていただければ、
無理のない予算で
美しいデザインと素晴らしい機能を兼ね備えたいい家を
建てることが出来るようになります。

「無駄を排除することで最小限の予算でマイホームを手に入れ
豊かな暮らしを実現する」
このコンセプトで家を建てたい方は、
全3回の記事をぜひ参考にしてみてくだい!

【おうちづくりコラム】豊かさを実現する真逆の方法 続編

前回、土地代や外構代を落としていただくために
カット出来そうな無駄についてお伝えさせていただきましたが、
それらを実現するためには、
根本的に家の設計から考え直さないといけません。

南向きにしなくても、
つまり家に囲まれている環境下でも充分な採光が確保出来る設計。
日当たりのために余分に土地を購入しなくても
必要な場所に充分な日照が確保出来る設計。

塀や目隠しなどがなくても人目が気にならず、
防犯的にも安心出来る設計。
また、何も装飾をしない方がむしろ家が美しく見える設計。
といった感じでしょうか。

そして、そのためには
家の無駄を省くことが一番の近道となります。

では今回は、
考えられる家の無駄についてお伝えしていきたいと思います。
一言で言ってしまうと、
「無駄」とは「固定概念の集まり」なので
まずはそれらが何かを知っていただければと思います。

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✔️カーテンという無駄

家にカーテンがあるのは
ごく当たり前の景色かもしれませんが、
少し掘り下げて考えてみるとカーテンがあることによって
家に様々な支障が出ていることに気が付くと思います。

家の中が暗くなる。
結果、朝から電気がないと暗くていられない。
外が見えないから開放感が感じられない。
カーテンが開けられないから窓が開けられない。
そして風が通らない。
カーテンの洗濯も含め掃除の手間が増える。
などなど。

他方、カーテンがいらない窓を意識してつくることが出来ると、
これらと真逆の現象が起こります。

家の中がいつも明るい。たとえ曇りや雨の日でも。
外が見えるので開放感が感じられる。
窓が開けられるので風通しがいい。
カーテンを洗う必要がない。
などなど。

その上窓の数も減らすことが出来るので、
窓掃除の手間も減るし戸締りの心配も少なくなるし
耐震性や断熱性も高くなります。

✔️シャッターという無駄

そして、カーテンと同じぐらい
無駄なアイテムなのがシャッターです。
カーテン以上に値段が高いですしね。

これもカーテン同様に南向きに窓を作らないといけない
という固定概念がもたらしたものです。
台風の時、シャッターがないと何かが飛んできて
ガラスが割れるかもしれないし、
長期間不在にする時、
シャッターをしてないと防犯的に心配だし、
シャッターがないと日中差し込み続ける
熱い陽射しをシャットアウト出来ませんからね。

そんなわけで日照時間が長く台風が多い徳島では
シャッターも定番アイテムと化しているのですが、
これも実は設計次第で100%無くすことが出来ます。
要は、防犯性とプライバシー性が担保された場所に窓を作れば、
カーテンとともにシャッターも必要じゃなくなるというわけですね。

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✔️2階建てという無駄

家の基本は平屋から始まり
その土地の中に入らない部分を2階につくるというのが
設計の基本なのですが、
なぜか土地に広さに関係なく
2階建てありきで多くの家が設計されています。

これは前回お伝えしたように
南向きじゃないといけないという
間違った固定概念がもたらした産物であることに違いありません。

しかし、冷静に考えてみてください。
太陽が沈んでいる時間に使う寝室を南向きにする必要はあるでしょうか。
昼間学校に行っている子供たちの部屋を南向きにする必要はあるでしょうか。
日中ずっと直射光に晒される眩しい部屋で
落ち着いて勉強なんて出来るでしょうか。

そしてそう考えると、
南向きにこだわった方がいい部屋なんてごく限られていると思いませんか?

これを理解しているだけで
間取りの幅がずいぶんと広がるはずです。
そして、家の南に無駄な余白をつくる必要がなくなり
平屋でいい土地に2階建てを建てなくてよくなります。

結果、耐震性や断熱性が自然と高くなり、
家事動線がよくなり、今も未来も暮らしやすくなり、
将来の不安がなくなるとしたら、
あなたはどちらを選びたいでしょうか。

いかがでしたか?
どれも当たり前にようにそうしなければいけないと
思われていたことばかりではないでしょうか。

そして、これらを当たり前にしているだけで、
土地代も外構代も高くつくという結果を招くことに
お気付きいただけたのではないでしょうか。

では、今回はここまでにして
次回もまた、まだまだ存在する当たり前のように受け入れている
「無駄」についてお伝えしていきたいと思います。