【おうちづくりコラム】住宅ローンの背景と今後の動向

住宅ローンの商品は、
大きく「変動型」と「固定型」の2つに分けられます。

変動型商品とは、
ネット銀行の主力商品である「変動金利」や、
地方銀行が取り扱っている
「3年固定」や「5年固定」などの
最初の短い期間だけ金利が固定されている商品です。

そして固定型商品とは、
「フラット35」という商品のように
最後までずっと金利が決まっている商品や、
地方銀行が取り扱う「10年固定」という
最初の固定期間が少し長めの10年で設定されている商品です。

それぞれの特徴としては、
「変動型」は固定型に比べて
金利が安いという利点がある一方で、
金利に連動して返済額が変わるというリスクを持っていて、
「固定型」の中でも全期間固定型の商品は、
ずっと返済が一定であり安心感を得られやすい
という利点はあるものの、
変動型に比べて金利が高いことから
余分に利息を払う可能性が高いという
リスクを持っているという感じでしょうか。

では、これらを考慮した上で
これから家を建てる予定の方は
一体どちらの商品を選んだほうがいいのでしょうか。

では、その答えを自ら導き出していただくために、
もう少しそれぞれの商品について
突っ込んでお伝えしていきたいと思います。

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✔️今後の金利の動向予測

今年、17年ぶりに日本銀行が
マイナス金利を解除しましたが、
この影響を直接的に受けるのは
固定型の住宅ローンだけであり、
変動型の住宅ローンは基本この影響を受けません。

マイナス金利が解除されたからといって
変動型の住宅ローンが直接的に影響を受ける短期金利が
すぐさま上がるわけではないからです。
今後日本でインフレが順調に進んだとしても、
それが賃金上昇につながるのは
団塊の世代が一斉退職する2030年頃だと言われているし、
実際そこから短期金利が上昇するまでは
さらにタイムラグがあると言われていますしね。

つまり、日本の景気が良くなりつつあるとしても、
変動型の住宅ローンを左右する短期金利が上昇するまでは
まだ十数年かかる可能性が高いため
「変動金利はかなり先まで上がらない」というわけですね。
これが専門家たちの見立てです。

そして、その可能性が極めて高いとしたら、
「元利均等払い」という返済方式が一般的である住宅ローンでは、
変動金利を選んだおいた方が
利息の払いを圧縮出来る可能性がグンと高くなります。

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✔️住宅ローンの隠れた真実

住宅ローンの返済方式には、
「元利均等払い」と呼ばれる
返済額が一定で利息と元本の比率が変化していくタイプと、
「元金均等払い」と呼ばれる
元金の額がずっと一定で利息の額だけが変化していくタイプの
2種類があるのですが、
元金均等払いは最初のうち返済額が高くなり過ぎることから、
ほとんどの方が「元利均等払い」で住宅ローンを組みます。

ですが、この元利均等払いは
貸す側にとっては非常に有利な返済方式であるものの、
逆に借りる側にとっては
決して有利な返済方式ではありません。
最初のうちは元本比率が低く逆に利息比率が高いからです。

イメージとしては35年返済であるにもかかわらず
わずか最初の10年だけで半分近くの利息を収めることになる
という感じでしょうか。

ゆえ、少しでも利息の過払いを防ぐためにも
少しでも金利が安い変動金利を選んでおいた方がいい
というわけですね。

利息の払いが少ないということは
元本の減りが早いということでもあり、
元本が小さくなっていれば
仮に十数年後、短期金利が上昇し
住宅ローン金利がグンと上がるような事態になってとしても、
返済負担が大幅に上がるというリスクも
軽減出来るわけですからね。

これが「変動型」の住宅ローンを推す方たちの意見ですが、
いかがでしたでしょうか?

この他、変動型の住宅ローンは
融資を受ける際にかかる手数料も安く、
その分家づくりの予算が抑えられるか、
家や土地に余分にお金がかけられる、
というメリットもあるのですが、
これも大きな要素となると思います。

では変動型についての話はここまでにして
次は固定型について
お伝えしていきたいと思います。

現時点では固定型は
非常に不利な状況ではあると思いますが、
安心感が得られる固定型を
捨てがたいのもまた一つの事実なので、
あまり変動型に偏らず読んでいただけたらと思います。

【おうちづくりコラム】住宅ローンの返済期間

ウッドショックを皮切りに
5~600万円上がってしまった建築代は
そのまま住宅ローンに組み込まざるを得ない
という方がほとんどだと思いますが、
とはいえ、そうなれば毎月15,000円~20,000円も
毎月の返済負担が上がってしまいます。
(変動金利と固定金利による差です)

もちろん、インフレによって企業の業績が上がり続け、
給料が上がっていく見込みがあるとしたら
これもまた「仕方無い」と思えるのかもしれませんが、
大多数派の意見としては
とてもじゃないけどそうは思えないのではないでしょうか?

このままいい感じでインフレが続き、
それが賃金上昇に反映されるとしても
それはすぐではなく、
団塊の世代が一斉に退職を迎える
2030年ぐらいじゃないかとも言われていますしね。

それに、普段の生活に密接している
食料品や日用品も軒並み高くなっているし、
今後は、所得税はもちろん消費税に至っても
増税される可能性が高まってきていますしね。

そんなわけで今回は、
住宅ローンの返済負担を上げないようにするための
2つの方法についてお伝えしていきたいと思います。

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まず1つ目の方法が、
「住宅ローンの返済期間を長くする」ということです。
つまり返済期間を35年ではなく
40年で設定するというわけですね。
そうすれば毎月の返済負担が
10,000円ほど抑えられるからです。

とはいえ、そうなれば
住宅ローンに縛られる期間が
よりいっそう長くなるため、
その期間ずっと働き続けられるのか
と不安に思われるかもしれません。

また、期間が長くなればなるほど
利息を余分に払うことにもなるため、
繰上げ返済をすることで
返済期間を短くしていくべきじゃないか
と思われるかもしれません。

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✔️住宅ローン期間が長くても問題ない理由

複利効果を最大に活かした
「長期積立投資」をするつもりがない方は、
先程申し上げた不安を払拭するために
少々負担が増えるとしても
返済期間を少しでも短くした方がいいし、
繰上げ返済をすることによって
利息の負担を軽減した方がいいと思います。
銀行への預金や貯蓄性の生命保険によって増えるお金より
住宅ローンの利息の方が圧倒的に多いからです。

一方で「積立投資」を
住宅ローン期間と同じ40年ずっとやり続けるとしたら、
住宅ローン利息の数倍お金が増えている可能性が
かなり高い確率であるのは、
過去のデータを見ても火を見るより明らかです。

「投資をする」ということは
「世界経済の成長に投資をする」ということなのですが、
世界の人口はこれまでずっと増え続けてきて、
それに連動して経済は右肩上がりに成長してきたし、
今後も世界の人口は増え続けていくと言われており、
そうなれば経済はきっと右肩上がりに成長するからです。

ゆえ、返済期間を長くすることで
返済負担を少しでも軽減し、
「長期積立投資」がしやすい状況を
作っていただきたいと考えている次第です。

そして返済期間を長くしても問題がないと
考えているもう1つの理由は、
住宅ローンを借りている期間中
ずっと「団体信用生命保険」という
保険が掛かっているからです。

つまり返済期間を短くするということは
それだけ保証期間が短くなるということだし、
繰上げ返済によって返済期間を短くしていくということは、
保険を早々に解約しようとしているということでもあるため、
わざわざそんなことをする必要はない
(=保証を放棄する必要がない)
というわけですね。

そんなわけで、これから家を建てる方は
返済期間を長くすることで
返済負担を少しでも抑えていただき、
生まれた余剰資金を
全て「長期積立投資」に回していただければと思います。